歯周病とは
歯周病は、歯肉や骨などの歯の周りの組織が細菌に感染し、炎症が起こることによって歯周組織が破壊されていく病気です。症状が末期の状態まで進行すると、歯肉や骨が歯を支えられなくなり、歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の原因となる口内の細菌は、歯や歯と歯肉の間にたまった食べカスをエサとして毒素を出しながら増殖し、歯の周りの組織に炎症を引き起こします。
したがって、日々の歯の清掃が十分でない方は歯周病にかかりやすくなります。また、喫煙している方や糖尿病の方も歯周病にかかりやすく、日々の生活習慣がこの病気になるリスクを高めることから、生活習慣病のひとつにも数えられています。
歯周病の症状
歯周病は初期の段階では自覚症状がほとんどなく、痛みや歯の揺れなどの症状が出て気付くころには重症になっていることが多い病気です。
以下のような症状に心当たりがある場合は、できるだけ早く治療を開始することが大切です。
歯周病の進行
歯肉炎
歯垢がたまった状態を放置すると、歯肉に炎症が起きて腫れ、歯と歯肉の間に2〜3mmの溝ができます。この溝を「歯周ポケット」といいます。痛みはありませんが、歯磨きの際に出血することがあります。
歯周ポケットに歯垢がたまると、さらに炎症は進行していきます。
軽度歯周炎
歯肉炎が進行すると、炎症が歯を支える骨にまでおよび、骨が破壊されはじめます。
歯肉はさらに腫れあがり、歯肉炎のときと同様に歯磨きの際に出血します。起床時に口の中にネバつきを感じることもあります。
歯周ポケットは3~5mmの深さになります。
中等度歯周炎
炎症がさらに拡大すると、歯を支える骨が半分近くまで破壊され、歯が左右に揺れるようになります。歯磨きの際には出血だけでなく膿が出ることもあり、口臭が強くなります。歯周ポケットは4~7mmの深さになり、歯肉が下がっているのが見た目でわかるようになります。
重度歯周炎
歯を支える骨の半分以上が炎症によって破壊され、歯が大きく揺れるようになります。噛むと痛みを感じるようになり、しっかりと噛むことができなくなります。歯周ポケットは6mm以上の深さになり、歯根が露出して歯が長くなったように見えます。膿や口臭もさらにひどくなります。
このまま放置すると歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の治療
プラークコントロール
歯周病治療の基本はプラークコントロールです。プラークコントロールとは、歯ブラシやデンタルフロスなどを使って歯垢(プラーク)が歯にたまることがないようにすることです。歯周病の原因である歯垢はつぎつぎと口の中に発生するため、それを毎日取り続けなければ歯周病は改善しません。患者さま自身がきちんと歯垢を除去できるように患者さまの口に合った適切なブラッシングの方法についてレクチャーをします。
スケーリング
スケーリングはスケーラーとよばれる器具で歯の表面に付着した歯石を取り除く処置です。歯石の表面はデコボコしており、歯周病の原因となる歯垢が付着しやすいので、歯周病の進行を止めるためには、徹底的に歯石を取り除くことが大切です。
ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、スケーリングだけでは除去できない歯肉の深い位置にある歯石や、細菌によって汚染されたセメント質を除去するとともに、歯根の表面をなめらかに仕上げる処置です。おもに歯周ポケットが深くなる中等度歯周炎以上の場合に行ないます。
フラップ手術
フラップ手術は、麻酔後に歯の周囲の歯肉を切開して、歯肉の奥の歯根の先の方にあって取れなかった歯石や汚染された組織を取り除く処置です。歯周ポケットが5㎜以上あり、スケーリングやルートプレーニングを繰り返しても治りきらなかった部位に対して行ないます。
歯周病の予防
歯周病を予防するためには、歯周病の原因となる歯垢をしっかりと取り除くことが何より重要です。そのためには、毎日きちんと正しい方法で歯を磨くことが必要です。正しい歯の磨き方については、ぜひ一度当院にご相談ください。
また、毎日の歯磨きではどうしても歯と歯肉の間にたまった歯垢や歯石を除去することはできません。より効果的な予防のためには、定期的に歯科医院で歯のクリーニングを受けて徹底的に歯の汚れを除去することが大切です。